ヘビージグ単アジング ストーリー EP.1

■はじめに
アジングアイテムの開発をスタートして早10数年。

各地でアジングを楽しませてもらった中で大型アジを狙うためのテクニックを見出した。その名も「ヘビージグ単」。

これは通常のアジングでは重い1.5g~5gのジグヘッドを用いた釣りを差し、これまで数多くの大型アジを手にすることができた。この釣りに至った経緯とそれに伴ったゼスタの製品群がどのように進化していったかをご紹介していこう。

 

■ヘビージグ単の始まり

ヘビージグ単という釣り方を意識したきっかけはブラックスター2ndジェネレーション・ブラックスターソリッドTZチューンドシリーズの開発に着手し始めた10年ほど前、アジの魚影が濃いと言われていた九州エリアへ釣行した時まで遡る。

当時尺を超えるサイズのアジを狙って釣ったことが無かった私は、ゼスタのホームフィールドである静岡県で日常的に扱っていた0.8gのジグ単でリグを浮遊させアジにアプローチしていた。

夕刻を迎え時合が来ると突如としてバイトが頻発するが、釣れるのは25cm前後のアジばかり。

私の予想よりもサイズが少し小ぶりだった。しかし、水面を覗くと海一面がアジの群れ。しかも底付近は40cmを遥かに超えそうなグッドサイズのアジが悠々と泳いでいるのが見えた。

軽いジグヘッドでは群れの上層付近を泳ぎ回る活性の高い小アジにアプローチしていただけにすぎなかったのである。

当時、このような状況ではPEラインを使用しキャロやアジスプに代表されるような、リグの中間にオモリを入れるスタイルで群れの下を探るというのが一般的だった。
確かに私もアジスプで良型を連発した経験があった。しかしジグ単と比較すると手返しが悪いという点や、キャロやスプーンという支点があるからこそバイトへのフッキングが遅れ掛け損ねているアジが多い印象があった。

思い通りビッグサイズのアジが釣れず悔しい気持ちで帰路についたことは忘れることができなかった。

 

■ジグヘッドを重くしてみたら?

遠征から帰ってきてからは徹底的に大型アジの特性を調べる日々が続いた。

その結果、

  • アジは尺を超えるサイズになるまでに3年~4年かかる
  • 適水温が16~26℃、
  • 水温が10℃を下回ると活動できない。
  • 上下の視野が極端に狭い

 

このような特徴があることを学んだ。

 

つまり経験値の高い大型のアジは冬季の極端に冷えた表層、中層を避けて水温が安定している深い場所で餌を漁るのはこのような理由からであると想像できた。

よって水温の低い時期は極端な状況を除き、深いエリアを徹底的に攻める必要があると確信したのだった。
そこでジグヘッドは深いエリアでもロッドアクションの応答性が良いスターヘッドタッチダウンの4・5gを、ロッドは深場でもアクションが可能なチューブラーブランクスのブラックスター2ndジェネレーションS57を開発し、再び九州エリアにリベンジ釣行へ向かった。

夕刻となり狙い通りアジの時合がやって来る。表層、中層に群れている小型のアジがバイトしてくるが重いジグヘッドを一気に吸い込めず、群れの間をリグがどんどん沈んで行く。

リグが着底したのを確認し、まずは着底まで何カウントなのかを把握。

海底付近を丁寧にトレースしつつ時折アクションを入れる。

すると小型アジとは異なる強烈な引き!狙い通り尺を遥かに超える良型のアジをコンスタントにキャッチすることに成功したのだった。

こうしてS57から私のヘビージグ単スタイルが幕を開けたのであった。

 

■ヘビージグ単タックルはさらなる進化へ

この成功によりヘビージグ単専用のブランクス開発はさらに加速する。

TZチューンドのシリーズ終盤にリリースしたS53-S、S510-Sはゼスタ発の5ft台のソリッドティップロッドで九州エリアのディープアジングの再現性をより追求したモデルだった。このブランクスは抜けアタリと操作性を追求し、ファーストテーパーに仕上げ近距離での大型アジを効率よく獲ることに主眼を置き、各地の遠征で上々の結果を出すことが出来た。

その数年後、さらに上位互換となるロッド開発に着手。

テストはショアだけでなくボートアジングにも頻繁に通い、大型アジを数釣ることでデータを蓄積した。

尺サイズを上回るアジは掛けた直後のファーストランよりもセカンドラン、サードランでフックアウトする確率が高かった。その理由としてアジを手前まで寄せるとマグロ類のように魚体を横にして円を描くように抵抗するからだ。

その結果ロッドは上下に叩かれるような負荷を耐えることになる。

この時点でテーパーがファーストになりすぎてしまうとアジの旋回による抵抗に対してロッドが強く反発し口切れを起こしたり、急に反転された場合にブランクスのベリー、バット部が追従できずにラインブレイクすることが頻発した。

この問題を解決するためブランクスのテーパーを何度も設計。約2年半近い歳月をテストに費やした。

そうして負荷が少ない時はリグのアクション重視のショートカーボンソリッドによるファーストテーパー、負荷が掛かるとアジの旋回と突っ込みに対応できるレギュラーテーパーに移行する可変テーパー(パラボリックテーパー)が理想であると考えに至った。

そのロッドが今のブラックスターエクストラチューンドS58LX-Sである。

その際、宇和海、日本海沿岸、東北、地元である伊豆、東京湾など全国各地の様々なフィールドでテストを行い、現在のヘビージグ単スタイルを確立したのだった。